地震等の災害による損害と確定申告 2006/02/23
福岡西方沖地震からもうすぐ1年が経とうとしています。地震による損害を受けた場合の税制面の救済策として「所得税法に規定する雑損控除」と「災害減免法に規定する税額控除」があります。今回はその事について説明致します。
【1】所得税法に規定する雑損控除
(1)対象となる資産
住宅・家財等の生活に通常必要な資産です。別荘、貴金属・書画・骨董などで、1個あたりの金額が30万円を越えるものは除きます。
(2)計算方法
「 損害金額 − 保険金等で補てんされる金額 」 = A
の金額を基として計算した次の@またはAの金額のうち多い方の金額を、その年の所得金額から控除することができます。
@ Aの金額 − ( その年の総所得金額の合計額 × 10% )
A Aの金額のうち災害関連支出の金額 − 50,000円
ここでの「損害金額」とは原則的には被災直前のその資産の時価ですが、その金額を算出するのは非常に困難なので、修繕費の金額をもって損失額としても良いこととなっています。また、今回の大地震に関し福岡・熊本・広島の各国税局ではその損失額の算定に関する簡便法をそれぞれ公表し、原則法と簡便法とのいずれか有利な方を選択することができるようになっています。(詳しくはお電話・メールなどでお問い合わせいただくか、各国税局のHPをご覧ください。)
(3)災害関連支出とは
被災後おおむね1年以内に支出した、災害により住宅・家財等が損壊した場合の取壊し又は除去にかかった費用や、原状回復のための修理代、被害拡大を防止するために緊急に必要な費用などを言います。従って、被災前よりも価値が上がってしまうしまうほどの支出や、地震に備えて住宅を補強するための支出などは含まれません。
(4)書類は何が必要か
雑損控除の適用を受けるのに「り災証明書」の添付は必要とされていません。しかし、災害関連支出がある時は、その領収書を確定申告書に添付、または税務署に提示しなければなりません。
(5)被災後いつ支出したものまで有効か
(4)の通り、災害関連支出は「被災後おおむね1年以内に支出したもの」とされています。また、被災した年の翌年の3月15日までに支出した金額については、その被災した年中に支出したものとして雑損控除を受けることができます。
例えば17年3月20日に起きた地震については、18年3月20日頃までに支出したものは災害関連支出として認められます。その内17年3月20日〜17年12月31日までに支出した金額はもちろん、18年1月1日〜18年3月15日の間に支出した金額についても17年分の確定申告で雑損控除を受けることができます。
(6)損失額の繰越控除
損害金額が大きすぎて(3)の金額をその年の所得金額から控除しきれないときは、その残額を翌年以後3年間繰り越して、各所得金額から順次控除することができます。この場合には、確定申告書と同時に「損失申告書」を提出する必要があります。
【2】災害減免法に規定する税額控除
災害による住宅・家財等の損害金額が、その住宅・家財の価額の50%以上であり、しかもその年の合計所得金額が1千万円以下である場合には、雑損控除による所得控除に代えて災害減免法による税額控除の方法を選択することができます。
災害減免法による税額控除では、次の金額をその年の所得税額から控除することができます。
@合計所得金額が500万円以下・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・所得税額の全額
A合計所得金額が500万円超、750万円以下・・・・・・・・・所得税額の50%相当額
B合計所得金額が750万円超、1,000万円以下・・・・・・所得税額の25%相当額
この方法では、損害金額が多額の場合でも、【1】(6)のような3年間の繰越控除の規定はありません。
また、雑損控除による所得控除の方法と、災害減免法による税額控除の方法はどちらか1つの選択適用ですので、両方の規定を同時に適用することはできません。
【3】雑損控除と災害減免法はどっちがトクか?
こればっかりはその方の所得金額や損害金額の大きさによって異なりますのでなんとも言えません。しかし【1】(6)の3年間の繰越控除のことを考えると、損害金額が合計所得金額を超えるほど大きい場合には、雑損控除による所得控除の方が有利と言えます。
その他、確定申告に関する詳しい事については当事務所のHPの「申告の流れ 所得税」に書いておりますので、ぜひ御参照ください。また、お分かりにならないことがありましたら、遠慮なくお電話またはメールなどでお問い合わせください。