税務調査がやってくる!!2 2006/12/01
今月は、前月のトピックスで省略させていただいた、最近の税務調査でよく問題となる「消費税の課税仕入税額控除」についてと、税務調査の詰めとなる「処分」について書いていきます。
【消費税課税仕入税額控除】
本題に入る前に、消費税の納税額の計算方法は「簡易課税」と「一般課税」の2種類あ
ります。簡易課税では課税売上分の消費税額から、その金額に一定割合を乗じた金額
を控除して納税額を計算します。そのため実際に仕入にかかった 消費税額は一切考
慮されず、今回の【消費税課税仕入税額】の問題は生じません。(簡易課税の場合の
計算方法等については当事務所HP 申告の流れ→消費税 をご参照下さい)
事業者が簡易課税制度選択届出書を提出しており、かつ2年前の課税売上高が5千万
円以下の場合は簡易課税制度が適用されます。消費税申告書の右側に(簡易課税
用)又は(一般用)と書いてありますが、2年前の課税売上高により変わる可能性があり
ますので、どちらで計算しているか分からない時はお問い合わせください。
〔消費税納税額計算の概要〕
消費税の課税事業者で一般課税により消費税額を計算する場合、消費税の納付額
は、「課税資産の譲渡等(売上分)に係る消費税額から仕入分の消費税額を控
除」して計算します。(例えば税込630円で仕入れた商品を税込1,050円で売った場合
は 50 − 30 = 20円 が納税額となります。(詳しくは当事務所HP 申告の流れ→消費
税を参照)なお、この「仕入分の消費税額」には、いわゆる商品などの「仕入」だけでな
く、水道光熱費などの経費や、車などの資産を購入して消費税を支払った場合を含み
ます。
〔仕入税額控除の適用要件〕
上記の場合、仕入分の消費税額を控除できるというのは納税者にとっては有利な規
定ですが、この規定の適用を受けるには「請求書等の保存」という厳しい適用要件
があり、それを満たしていないと仕入分の消費税額を控除できない(例で言うと、30円
を控除できないため50円を納付)ということになってしまいます。この「請求書等の保
存」とは、「次の事項が記載された帳簿及び請求書等を確定申告の月から7年
間保存しなければならない」というものです。「及び」となっていることから、帳簿・請
求書等の両方を保存しなければなりません。
〈帳簿の記載事項〉
@ 課税仕入の相手方(請求書を発行した者)の氏名又は名称
A 課税仕入を行った年月日
B 課税仕入に係る資産又は役務の内容
C 課税仕入に係る支払対価の額(消費税額を含みます)
〈請求書等の記載事項〉(モノを売った側又は役務の提供をした側が作成する
書類)
@ 書類の作成者の氏名又は名称
A 課税資産の譲渡等を行った年月日
B 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
C 課税資産の譲渡等の対価の額(消費税を含みます)
D 請求書等の交付を受ける事業者(買った側又は役務の提供を受けた側)の氏
名又は名称
請求書・領収書を相手からもらうことが前提ですが、どうしてももらえない場合には自
己防衛策として、相手方の氏名、金額、もらえなかった理由などの当時の状況をメモし
て取っておくことも重要です。
〔消費税のかかるもの・かからないもの〕
前述のとおり、経費にかかった消費税も売上分の消費税から控除することができます
が、経費の中には消費税がかからないものもあり、その主たるものが人件費です。
前月のトピックスで少し触れましたが、一人親方に対して支払う外注費が、税務調査
によって給料とみなされてしまった場合に、この消費税がかかるか、かからないかとい
う問題が生じます。
例えばその一人親方に年間4,200,000円を外注費として支払っていた場合、外注費で
あれば消費税はかかりますので、4,200,000円 × 5/105 = 200,000円の消費税
を、その年度の売上分の消費税から控除することができます。
しかし、もし給与とみなされれば消費税はかからないものとなってしまいますので、
仕入税額控除ができず、200,000円の消費税が追徴されることになってしまいます。
さらに前月のトピックスの通り、給与とみなされれば源泉所得税も課されてしまうの
で、外注費と給料の区分はしっかりとつけておくことが必要です。
【処分】
さて、調査が詰めに入り増差所得が確定してくると、法人の場合、次はその増差所得
を法人税法上どう取扱うかという、いわゆる「処分」という問題になってきます。
例えば当期に計上すべき売上を翌期に計上していたり、期末棚卸が過少だったりする
場合は、売掛金や商品などの資産が増加します。仕入や経費を水増し計上していた場
合は、買掛金や未払金などの負債が減少します。通常はこのように資産の増加又は
負債の減少として処理します。
しかし、売上を除外していたり、経費の支払先や支払内容が不明な場合などは、その
金銭を代表者が受取ったものとみなされ、代表者に対する賞与とされることもあ
ります。法人の役員に対する賞与は基本的に損金として認められませんので、そこで
法人税が課税されます。さらに賞与とみなされた場合は源泉所得税も払わなけれ
ばならず、社長個人の税負担も生じてしまいますので、最後の結論を出す前に、納得
のいく処分がされるように税務署と折衝することが重要です。