稲光誠一税理士事務所

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役員給与の改定は慎重に! 2007/08/01

18年度の税制改正で役員給与の損金算入・不算入についての見直しがされました。
改正前においても役員給与については「定期同額(1月以下の一定の期間内に支給する同額の給与)」が原則でしたが、今回の改正で改めて、役員の定期同額給与の増減の改定につき、
@会計期間開始後3月以内の増額・減額改定
A役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされた改定
B「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」がある場合の減額改定

に限られるのが「原則」とされました。
その上で、C改定前の各支給時期と改定後の各支給時期における支給額が同額である定期給与であることが「定期同額給与」の要件とされています。
しかし実務上の取り扱いについては不明な点も多いのですが、国税庁は質疑応答事例を公表し、具体的な取り扱いも徐々に明らかになってきています。
今回はその取り扱いのうち主要なものをいくつか説明します。

【1】年度の途中に役員給与を増額した場合
 3月決算法人が10月に臨時株主総会を開き、月額50万円だった役員給与を11月分より
 月80万円に増額するとした場合は、「従来からの定期同額
 給与50万円とは別個に定期給与30万円を上乗せして支給したものと同じ」
として、その
 上乗せ部分である30万円 × 5ヶ月(11月〜3月) = 150万円が損金不算入となります。

【2】年度の途中に役員給与を減額した場合
 3月決算法人が10月に臨時株主総会を開き、月額50万円だった役員給与を11月分より
 月40万円に減額するとした場合は、「本来の定期同額給与は減額改定後の40万円で
 あり、改定前はその40万円に10万円を上乗せして支給していたものと同じ」
として、そ
 の上乗せ部分である10万円 × 5ヶ月(6月〜10月) = 50万円 が損金不算入となりま
 す。(4月・5月分は、5月の定時株主総会までは前年5月の定時株主総会からの職務執
 行期間であり、その役員給与は50万円であるため、損金不算入にはなりません。)
 ただしその減額改定が「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」があ
 ることによる減額
の場合には、損金不算入額はありません。

ここで注意すべきなのは【2】の減額した場合です。
【1】の増額した場合は、従前から利益調整にあたる(役員給与を増やして会社の利益を減らし、法人税を少なくする)ため、定時株主総会以外の増額は基本的に認められませんでした。
しかし【2】のように減額した場合は、会社の利益が増加する(法人税を多く納める)ことになるため、今までは法人税法上の問題は無かったのですが、今回の改正では「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」がある場合以外の減額も認められなくなりました。
つまり、役員給与を下げたことでなんとか会社上の利益が10万円出たとしても、法人税法上の利益は上記の50万円を損金不算入とした60万円(10万円 + 50万円)であり、その60万円に対して税金が課せられることになってしまいます。
また、「経営の著しい悪化」がどの程度の悪化を言うのかが気になりますが、具体的な基準は設けられておらず、実態を見ながら個別に判断していくことになるので注意が必要です。

【3】年に2回以上の減額をした場合等
 法人税法上損金不算入となることが分かっていても、会社の利益を上げるためにどうし
 ても役員給与を減額しないといけない場合もあると思われます。【2】の例で言うと、
 11月分から40万円に減額したものの、もう少し会社の利益を上げるために2月分から
 月30万円に減額したような場合です。この場合にはもはや「定期同額」のベースとなる
 べき金額がいくらなのか分からなくなり、年間支給額の全額が「定期同額給与」でない
 と考えられるため、50万円 × 5ヶ月(6月〜10月) + 40万円 ×3ヶ月(11月〜1月)
 + 30万円 × 2ヶ月(2月〜3月) = 430万円
 全額が損金不算入となると思われます。
 (【2】の場合と同じく、4月・5月分は損金不算入にはなりません。)
 同様に年2回以上の増額や、同事業年度中に増額と減額を両方行ったような場合にも、
 最初に書いた@〜Bの改定要件を満たさなければ、年間支給額の全額が損金不算入
 となるものと思われます。

【4】数ヶ月先の改定を決議した場合
 例えば3月決算法人が5月20日の定時株主総会で「8月に大口の契約があることが
 確定しているので、「その契約締結に尽力した取締役Aの役員給与を、8月分より
 増額する」といった決議をし、その決議通りに8月分から増額した場合。
 この場合は上記のCの要件「改定前の各支給時期と改定後の各支給時期にお
 ける支給額が同額である定期給与」
に該当しないことになります。
 つまり、「改定後の各支給時期」とは5月20日の定時株主総会後最初に到来する
 支給日以後の支給日のことですので、例えば給与支給日が毎月10日であれば、
 6月10日支給分から増額しないといけないということになります。従ってこの場合は
 【1】と同様に、上乗せ支給部分が損金不算入になるものと思われます。

【5】代表取締役が急逝したことにより取締役が昇格した場合等
 代表取締役が急逝したためそれまで取締役であった者が代表取締役に昇格したこと
 など、やむをえない事情により役員としての職務内容が激変した場合の増額改定は、
 上記Aの改定要件に該当し、それが会計期間後3月を経過した日以後に行われたもの
 であっても定期同額給与として認める、としています。

上記の他にも給与改定には様々なケースが考えられますが、改定には今まで以上に慎重な判断を要するようになりました。給与改定をお考えの際は是非、当事務所にご相談ください。

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