租税特別措置法の期限が切れた影響 2008/05/01
(1)租税特別措置法とは何?
特定の政策目標を達成するため、税制上の特例として租税を減免あるいは増徴する措
置です。
(2)何故、ガソリンは安くなったの?
租税特別措置法によるガソリン1kℓ当たり53,800円だった揮発油税が、平成20年3月
31日で措置法の期限が切れ、同年4月1日から本来の税率1kℓ当たり28,700円に引き
下げられた為です。
1ℓ 当たり(53,800円 - 28,700円)÷ 1,000ℓ= 25.1円(安くなった税金)
安くなったのはガソリンだけではなく、軽油も軽油引取税の影響で次のように安くなって
います。
1ℓ 当たり(32,100円 - 15,000円)÷ 1,000ℓ=17.1円(安くなった税金)
ただし、ガソリン税暫定税率は4月30日に衆院再可決し5月1日に復活することになりま
した。
(3)ガソリン税だけではない租税特別措置法
ガソリン税ばかりが話題になっていますが、租税特別措置法には他にも様々な規定が
設けられ、中には納税者に有利な規定もあり、ガソリン税と同じく期限が経過してし
まったものや、いわゆる「つなぎ法案」で延長されたものもあります。
○適用期限が経過してしまったもの
所得税
民間国外債等の利子・発行差金の課税の特例
法人税
試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(控除率の加算措置に係る部分)
エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特
別控除
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
教育訓練費の額が増加した場合の法人税額の特別控除
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
交際費等の損金不算入
使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
欠損金の繰戻しによる還付の不適用
退職年金など積立金に対する法人税の課税の停止
ほか
贈与税
住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例
その他、酒税、揮発油税、地方道路税、石油石炭税に関する一定の事項
○20年5月31日まで期限が延長されたもの
所得税
特別国際金融取引勘定において経理された預金等の利子の非課税
外国金融機関等の債券現先取引に係る利子の課税の特例
登録免許税
土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減
マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等の免税
農地保有合理化法人が農用地を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減
その他、酒税、たばこ税、揮発油税、地方道路税、石油石炭税に関する一定の事項
(詳細省略)
(4)適用期限の経過した租税特別措置法の遡及の有無
平成20年度の税制改正法案は4月29日以降に衆議院の再議決によって成立するもの
とみられますが、成立した場合は、適用期限の経過した租税特別措置法の遡及の有無
については、原則として20年4月1日に遡って適用される旨が「所得税法等の一部を
改正する法律案」に盛り込まれています。
しかし、「不利益不遡及の原則」により納税者に不利益な規定は、基本的には公
布日以降に適用されることとなり、4月1日まで遡及して適用となるか公布日以降
の適用となるかは、措置法ごとに政令によって定められることとなりそうです。
(5)「不利益不遡及の原則」とは
「新たに制定されたり、改正された法律が、その施行日以前の関係にさかのぼって適用
されることはない。」という原則であり、「そうでなければ既得権を害したり、過去にされ
た予測を裏切ったりして、法的安定性が害される」というものです。(法律学小事典第3
版より)
一部のものは期限が延長されたものもありますが、それ以外のものは法案が成立するまでの間失効しています。
今後の動向に注目するとともに、4月1日まで遡って適用されるものもありますので、取扱にはくれぐれも、注意が必要となるでしょう。