稲光誠一税理士事務所

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平成19年中に退職された方へ 〜住民税還付〜 2008/06/02

18年度の税制改正で国税から地方税への税源移譲が行われました。ほとんどの人は納める税金が地方税である住民税(市県民税)が増え、その分国税である所得税が減ったというだけで、税負担の合計額には変わりありません。しかし、中には税源移譲によって税負担が増えてしまう場合があり、住民税の方でそのための調整措置が大きく2つ講じられています。
1つは住宅取得ローン控除に関する調整措置で、詳しくは2007年10月1日のトピックス「住宅取得控除を受けられる方へ」に記載しています。
もう1つは19年中に退職された方に対しての調整措置で、今回はそのことについて説明します。

【1】概要
 住民税は前年分の所得を基にその年の6月から翌年5月までの税額が計算されます。
 具体的には、18年分の所得を基にして、19年6月から20年5月までの住民税額が計算
 されます。前述の通り税源移譲により住民税が増え、その分所得税が減りました。
 しかし19年中に退職し、19年分の所得税の課税所得がゼロとなる方は、所得税が減
 った恩恵は得られず(所得税率が低かろうと高かろうと、所得税はゼロ)、18年分の所
 得を基に計算された重たくなった住民税を20年5月まで支払い続けることになります。
 このように19年中に退職したことで、税源移譲による税負担の増加の影響を受けてしま
 う方に対し、既に収めた19年度分の住民税からその影響で増加となった分を還付すると
 いう制度が設けられました。

【2】対象者
 この規定の対象となるのは、19年中に退職された方で次の(1)と(2)を同時に満たす方で
 す。
 (1) 19年度の住民税の課税所得金額(18年分の所得を基に計算) > 所得税との人的
    控除の差の合計額
 (2) 20年度の住民税の課税所得金額(19年分の所得を基に計算) ≦ 所得税との人的
    控除の差の合計額
 この「所得税との人的控除の差の合計額」とは、例えば所得税を計算する場合、基礎控
 除38万円・一般扶養控除38万円・特定扶養控除63万円といった金額を所得金額から控
 除することができますが、住民税を計算する場合には基礎控除は33万円・一般扶養控
 除は33万円・特定扶養控除は45万円を所得金額から控除することになります。この所
 得税の控除額と住民税の控除額との差(基礎控除であれば38万円−33万円=5万円)
 の合計額を「所得税との人的控除の差の合計額」といいます。
 それを踏まえてもなかなか意味の分かりにくい判定基準ですが、基本的には18年中は
 所得があったため19年度分の住民税が課されたが、19年中に退職して所得が減り、19
 年分の所得税が課されなかった方(退職するまでの給与から毎月源泉所得税がひかれ
 ていても、年税額がゼロとなる方)が対象となります。さらに言いますと、扶養者がいな
 い方であれば19年の退職するまでの給与収入が103万円以下
であれば対象とな
 ります。
 ただし、基礎控除や扶養控除などの「人的控除」によって19年分の所得税がゼロとなっ
 た場合が対象となるため、生命保険料控除や住宅取得控除によって所得税がゼロとな
 る場合にはこの規定は適用されません。

【3】還付額
 次の@の金額 − Aの金額が還付されます。
 @19年度分の住民税の課税所得金額 × 税源移譲の住民税率(10%)=調整控除額
 A19年度分の住民税の課税所得金額 × 税源移譲の住民税率
 
  @の「調整控除額」とは「19年度分の住民税の課税所得金額」と「人的控除の差額
  の合計額」とのいずれか少ない金額の5%相当額です。

【4】具体例
 ●18年分の給与収入は300万円(給与所得は192万円)
 ●19年4月に退職し、19年分の給与収入は100万円(給与所得は35万円)
 ●扶養者なし(住民税基礎控除33万円のみ)

  の場合を例に説明します。
 「人的控除の差額の合計額」は基礎控除分のみなので 38万円−33万円=5万円です。
 対象者となるかの判定は
  (1) 192万円 − 33万円 = 159万円 > 5万円
  (2) 35万円 − 33万円 = 2万円 ≦ 5万円
   となり、共に満たします。
 還付額は
  @159万円 × 10% − 2,500円 = 156,500円
   (調整控除額は5万円×5% = 2,500円)
  A159万円 × 5% = 79,500円
   @ − A = 77,000円  となります。

【5】手続き
 この規定の適用を受けるには、20年7月1日から20年7月31日までの間に、19年1月1日
 にお住まいの市区町村に「市県民税減額申請書」を提出します。
申請書は福岡市役所
 他、各役場のホームページからダウンロードできます。
 提出する市区町村は19年1月1日現在住んでいた住所の市区町村です。退職して
 引越しをされた方などは注意が必要です。
 福岡市では対象となる方には5月以降に申請書が送付されるようですが、気になる方は
 19年分の所得が分かるものを用意して市区町村の税務課までお問い合わせください。
 また、この規定は19年中に退職された方を対象としており、20年中に退職した場合
 には適用されませんのでご注意ください。
 申請期間が1ヶ月間と非常に短い期間です。期間内に申請しなければ控除は受けれま
 せんので、対象となる方は忘れずに申請書を提出し、対象となりそうな方も是非ご確認
 ください。

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